レンタルビデオ店の終焉と転生:ゲオ・TSUTAYA跡地の今
🔎 ポイントまとめ
- 映像レンタル市場は過去10年で激減し、TSUTAYA/ゲオの店舗も激減
- 跡地はドラッグストアやジム、クリニックなどへ再活用が進行
- ゲオ自身もリユース事業に軸足を移し、セカストを拡大中
- 空き店舗は地域インフラやスタートアップ支援拠点にも転用されている
はじめに
かつて週末の定番だったレンタルビデオ店が、街から急速に姿を消している。TSUTAYA、ゲオといった巨大チェーンは、サブスクリプション型動画配信(SVOD)の台頭により急激な縮小を強いられてきた。しかし、その店舗跡地が“廃墟”となっているわけではない。むしろ今、レンタルビデオ店の「終焉」は、ローカルビジネスや別業態への「転生」の入り口となっている。
本稿では、TSUTAYA・ゲオの店舗数推移、映像レンタル市場の崩壊、そして跡地活用のビジネス構造を読み解いていく。
レンタルビデオ市場の終焉:数字が語る衰退の速度
DVDレンタル市場は、2000年代前半までは1兆円産業に迫る勢いだった。TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)やゲオホールディングスは、国内数千店舗を構えるまでに成長した。
しかし、2010年代後半からNetflixやAmazon Prime Videoなどの定額制配信が急拡大。これによりレンタル需要は急速に低下し、以下のような数字でその衰退が可視化される。
データで見る市場縮小:
- 2010年:国内レンタルビデオ市場 約5,500億円
- 2020年:同市場 約1,300億円(前年比-12.3%)
- 2024年:推定 約700億円以下(DMM調査/2024年)
TSUTAYAの店舗数はピーク時(2003年)に1,500店を超えていたが、2024年時点では約350店にまで減少。一方、ゲオも2020年以降に約300店舗を閉店している。
跡地は“ゴーストタウン”になっていない
急激な店舗縮小が進むなか、その跡地はどうなっているのか?意外にも、多くのTSUTAYAやゲオの跡地は「地元商圏に適応した形で」転生を遂げている。
主な転用例:
- ドラッグストア(マツモトキヨシ、ウエルシアなど):駐車場付きの郊外立地に適している
- フィットネスジム(chocoZAP、エニタイムフィットネスなど):24時間営業と好相性
- 買取・リユースショップ(セカンドストリートなど):ゲオ系列が再活用
- クリニックモール:複数の医療機関をまとめてテナント化
郊外・中規模ロードサイドという特徴が、「ECでは代替できない業態」にとって最適な不動産となっている。
ゲオ自身も“再発明”している
興味深いのは、ゲオホールディングス自体も変化に対応している点だ。ゲオグループは現在、リユース(中古)事業を中核に置いており、「セカンドストリート」は国内外で急成長している。
データで見る変化:
- セカンドストリートの国内店舗数:2024年3月時点で約750店(前年比+80店)
- ゲオホールディングス全体売上のうち、リユース事業の比率:約68%(2023年実績)
これにより、かつての「レンタル依存体質」から脱却し、ハードオフやトレジャーファクトリーといった中古流通ビジネスと同じ土俵に移行しつつある。
“空き店舗”は地域のインフラへ
TSUTAYAやゲオの跡地が、地元の人々にとって新しい生活拠点となっている事例も増えている。たとえば、図書館やコワーキングスペースとして再利用される動きもみられる。
- 例:北海道江別市では、旧TSUTAYA店舗を図書館とカフェの複合施設に改装
- 例:関西地方の旧ゲオ跡地が、スタートアップ向けのシェアオフィスに転用
これらの再活用により、「過去のレガシー」が「地域の未来」に変換されている。
おわりに
レンタルビデオ店の終焉は、単なる“文化の終わり”ではない。むしろこれは、消費行動の変化に応じたビジネス構造の進化である。TSUTAYAやゲオが築いた不動産・ブランド・人材といった資産は、新たな用途と市場で再定義されつつある。
「店は消えた」が、「価値は残った」。これこそが、店舗経済の“転生モデル”である。
参照
- 日本映像ソフト協会『映像ソフト市場統計(2023年)』
- ゲオホールディングス『2024年3月期 決算説明資料』
- CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ) 公式HP
- DMM動画配信事業レポート(2024年)
- 日経クロストレンド『空き店舗活用の最前線』(2023年)
🔎 ポイントまとめ
- 映像レンタル市場は過去10年で激減し、TSUTAYA/ゲオの店舗も激減
- 跡地はドラッグストアやジム、クリニックなどへ再活用が進行
- ゲオ自身もリユース事業に軸足を移し、セカストを拡大中
- 空き店舗は地域インフラやスタートアップ支援拠点にも転用されている



