シティポップの逆襲:昭和音楽が世界で“バズる”理由
🔎 ポイントまとめ
- シティポップはYouTube・Spotifyで世界中に拡散中
- 昭和の洗練された音楽性がZ世代に刺さっている
- アナログ盤やグッズの再販で収益化も進行中
- ノスタルジアが“日本の資産”としてグローバルに展開
はじめに
SpotifyやYouTubeを使っていると、時折1970年代〜80年代の日本の音楽、いわゆる“シティポップ”がレコメンドされることがある。竹内まりや「Plastic Love」や大貫妙子「都会」、山下達郎「Sparkle」など、当時の楽曲が突如としてグローバルに再注目され、ミリオン再生を超える現象が起きている。本稿では、なぜ昭和音楽が「いま世界でバズっているのか」、その背景と構造を分析する。
デジタルが支える“昭和レトロ音楽”の輸出
YouTubeのアルゴリズムやSpotifyのプレイリスト機能によって、シティポップは世界中のリスナーに届いている。たとえば「Plastic Love」は2017年ごろから英語コメントで埋め尽くされ、2024年現在では再生回数は6,000万回を超えている。TikTokやYouTube Shortsなど、ショート動画のBGMとしても人気で、米国・タイ・ブラジルなど多国籍なリスナーがこのジャンルに触れている。
特にVaporwaveやLo-fi HipHopなどの“ネット文化”と融合することで、シティポップは「懐かしいのに新しい」ジャンルとして認識されている。
データで見る拡散力:
- 竹内まりや「Plastic Love」:再生回数6,000万超(YouTube, 2024年)
- 山下達郎「Love Talkin」:Spotify月間リスナー 約130万人(2024年)
- TikTok内ハッシュタグ「#citypop」:累計再生数1.4億回(2024年)
なぜ“昭和”が刺さるのか:音楽性と時代背景
シティポップは、戦後復興を経た日本が高度経済成長を経て文化的自信を持ち始めた1970〜80年代に隆盛を迎えた。都会的で洗練されたメロディ、英語的なコード進行、そしてAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)やファンク、ジャズなどの西洋音楽を取り入れたサウンドが特徴である。
現代の音楽トレンドが“ループ志向”や“中毒性のあるサビ”に寄る一方で、シティポップは緻密なアレンジと豊かなコード進行によって、違った「聴きごたえ」があると感じられている。
また、歌詞の内容も「曖昧な恋」や「失われた夏の日々」など、SNS的文脈から離れた曖昧さが、逆にZ世代にとって新鮮で魅力的に映る。
再生産される“シティポップビジネス”
シティポップのバズは音楽消費の文脈にも変化をもたらした。国内ではレコードの再販が進み、渋谷や中野のレコードショップでは昭和アーティストのアルバムが若者に人気を集めている。また、レコード会社や配信サービスもこのブームに応え、シティポッププレイリストの充実や復刻盤の販売を加速させている。
復刻CD、アナログ盤、Tシャツやポスターなどの関連商品も展開され、“懐かしい”をキーワードにした体験型マーケティングが進行している。
データで見る収益構造:
- 2023年の国内アナログ盤売上:前年比121%増(日本レコード協会)
- タワーレコードの「City Pop Revival」特集売上:前年比160%(2023年)
“懐かしさ”のグローバル化:文化資本としての昭和音楽
昭和音楽の人気は日本に限らず、台湾、韓国、アメリカ、欧州などにも波及している。台湾ではシティポップカフェが登場し、韓国ではDJシーンで山下達郎の曲が使われるケースもある。
“懐かしさ”は本来、文化や国によって異なるが、シティポップのもつ「都市的」「洗練」「哀愁」という感覚は、普遍的な魅力として翻訳されている。つまり昭和の音楽が「過去の日本」ではなく「現在のノスタルジア」として世界に受け入れられている。
ファッション・建築・映像とも融合し、「昭和スタイル」はいまやグローバルなカルチャーアイコンとして機能している。
おわりに
シティポップのブームは一時的な懐古趣味ではない。デジタル環境とグローバルな感性に支えられながら、「文化資産」として再構築されている。そしてそれは、アーティストに新たな収益機会をもたらし、レコード会社に再販戦略の再起を促し、ファンにとっては“発見する喜び”を提供する。
これは“過去の逆襲”ではなく、“過去が未来になる”現象である。
参照
- 日本レコード協会『2023年 音楽ソフト売上統計』
- Spotify公式アーティストページ(山下達郎・竹内まりや)
- YouTube動画再生数(Plastic Love)
- TikTok内「#citypop」タグ統計(2024年5月時点)
- タワーレコード『City Pop Revival特集』(2023年)
- VICE Asia「Why Japanese City Pop Is Going Global」(2022年)
🔎 ポイントまとめ
- シティポップはYouTube・Spotifyで世界中に拡散中
- 昭和の洗練された音楽性がZ世代に刺さっている
- アナログ盤やグッズの再販で収益化も進行中
- ノスタルジアが“日本の資産”としてグローバルに展開



