あなたの職探しは誰が儲けているのか?転職支援3社の利益モデル
🔎 ポイントまとめ
- 転職支援は、企業からの広告・紹介料で成り立つBtoB型ビジネス
- リクルートは掲載課金型、マイナビは新卒・特化領域、ビズリーチはプレミアム課金型で差別化
- ユーザーの囲い込みとデータ活用が収益性の鍵
- 今後はAIマッチングや自動化の進展で競争が激化する見通し
はじめに
日本では毎年数百万人が転職市場に流動し、その背後には「転職支援」という巨大なビジネスが存在する。求人を出す企業、転職を希望する個人、そしてその間をつなぐプラットフォーマー。この記事では、転職支援を展開する主要3社 リクルート、マイナビ、ビズリーチ(ビジョナル) の利益構造に注目し、私たちが転職するたびに、誰が、どのように儲けているのかを読み解く。
転職ビジネスは「誰」からお金を取っているのか?
転職支援ビジネスの基本構造はシンプルだ。求人企業から掲載料や成功報酬を得るBtoB型である。ユーザー(転職希望者)からは、基本的に料金を取らない。だが、この非対称なモデルこそが、各社のビジネス戦略の違いを生む源泉である。
リクルート:掲載課金+成果報酬の巨大市場支配者
リクルートは、IndeedやリクナビNEXTなど複数の求人プラットフォームを運営しており、掲載型・成果型の両軸を併用する。企業側からの掲載課金が主な収益源であり、幅広い業種・職種を網羅できる強みがある
- 年間求人広告収入:約4,000億円超(HRテクノロジー・メディア領域全体)
- 国内外で求人ボリュームのスケールを活かし、効率的なマッチングを実現
マイナビ:地方×新卒を起点とした堅実収益
マイナビは新卒市場での強みと、地方企業とのネットワークを活かして収益を安定化している。企業からの求人掲載料や合同説明会への参加料など、オフラインイベントに基づいた収益も特徴的だ。
- 年商:約1,800億円(推定)
- イベント課金や広告、特定ターゲット層向けの媒体展開で多角化
ビズリーチ(ビジョナル):課金型のプレミアムモデル
ビズリーチは他2社と異なり、転職希望者にも課金を行うモデルが特徴的だ。スカウト型のプラットフォームで、企業・ヘッドハンターからのアクセスが有料。ユーザーも有料プランでスカウトを受けやすくすることが可能。
- 有料会員数:約10万人(2024年推定)
- 法人向けアカウントは月額10万円〜と高単価
- 年間売上:約300億円超(ビジョナル全体)
プラットフォーム戦略と“囲い込み”競争
これら3社が展開しているのは、単なる求人情報の提供ではない。“候補者データ”と“企業アカウント”をいかに囲い込み、再利用可能なマッチング資産に変えるかが勝負の分かれ目となっている。
リクルート:エコシステム化とIndeed連携
リクルートは、Indeedなどのグローバルプラットフォームを用いて、検索エンジン×求人情報の融合を推進。広告投下による流入とデータ解析により、アルゴリズムマッチングを強化している。
- ユーザー基盤:世界で3億MAU(Indeed)
- 求人表示最適化アルゴリズムに強み
マイナビ:クローズドコミュニティの深耕
マイナビは、ナース・保育士・ITエンジニアなど、職種特化型メディアの展開により、特定ターゲットとの関係性を深める戦略をとる。さらに、新卒領域では、学生の就活プロセス全体を囲い込むUXを提供。
- 学生会員数:約60万人(2024年)
- 特化型メディアで縦展開を強化
ビズリーチ:ラグジュアリー転職のブランド形成
ビズリーチは、転職支援における「プレミアム」なブランド構築に成功している。ユーザーとの有料契約により、LTVが高く、データクレンジングやヘッドハンターの質的管理にもコストをかけられる。
- LTV:約15万円/ユーザー(推定)
- ヘッドハンターの評価スコアを公開し、差別化を図る
利益構造と今後の注目点
利益構造の違いは、企業の投資判断と持続性に直結する。
リクルート:高収益だが競争は激化
リクルートの営業利益率は約20%台後半と極めて高く、Indeedのグローバル展開が貢献している。一方で、海外ではGoogle for JobsやLinkedInとの競争が熾烈になり、国内市場の成長鈍化も課題である。
マイナビ:安定収益だが成長鈍化
マイナビは利益率が10%台と安定しているが、従来の営業力やリアルイベントに依存する収益モデルに限界が見え始めている。デジタル移行のスピードがカギとなる。
ビズリーチ:高単価だが維持コストも高い
ビズリーチは単価の高さゆえに営業利益率も高いが、一人あたりの獲得コストが非常に高い構造。AIマッチングや自動化によるコスト削減が成否の分かれ目。
おわりに:あなたのキャリア選択は“誰かのビジネス”である
私たちが仕事を探すたびに、裏側で誰かが儲けている。それは悪いことではないが、そのビジネス構造を知ることは、より賢いキャリア選択につながる。転職市場は、あなたの未来と、企業の人材戦略、そしてプラットフォーマーの利益構造が交差する「利害の交差点」である。
参照
リクルートホールディングス決算説明資料(2024年3月期)
ビジョナル株式会社 IR資料(2024年5月)
マイナビグループ 会社概要およびプレスリリース(2023〜2024)
日経ビジネス「転職サイトの舞台裏」特集(2024年4月)
東洋経済オンライン「ビズリーチの有料戦略に見るLTVビジネス」
🔎 ポイントまとめ
- 転職支援は、企業からの広告・紹介料で成り立つBtoB型ビジネス
- リクルートは掲載課金型、マイナビは新卒・特化領域、ビズリーチはプレミアム課金型で差別化
- ユーザーの囲い込みとデータ活用が収益性の鍵
- 今後はAIマッチングや自動化の進展で競争が激化する見通し



