世界で「おにぎり」が売れる理由 国内外で拡大する“握り飯”マーケットの実態とは
🔎 ポイントまとめ
- 日本国内では年間50億個超が販売される巨大市場であり、安定成長中。
- 海外では冷凍・即食モデルが台頭し、アメリカ・フランス・シンガポールなどで人気。
- 健康志向・ローカル対応などを通じて“グローバルフィンガーフード”化が進行。
- 今後は観光需要やB2B供給も含め、年3億個超の消費が世界で見込まれる。
はじめに
おにぎり──それは日本人にとって最も身近な携帯食だ。かつては手作りの象徴であり、コンビニの定番としても定着した。しかしここ数年、この“ご飯を握っただけの食べ物”が、海を越えて世界に広まり始めている。なぜ今、世界中でおにぎりが注目されているのか。国内市場の動向と海外市場の開拓、そしてグローバルチェーンの挑戦を通して、その戦略構造を読み解いていきたい。
コンビニおにぎり市場の規模と構造(日本)
2023年現在、日本のコンビニ3社における「おにぎり」の年間販売個数は以下の通りだ。
| 企業名 | 年間販売個数(概算) | 主力商品 |
|---|---|---|
| セブン-イレブン | 約22億個 | ツナマヨ、紅しゃけ、熟成辛子明太子 |
| ファミリーマート | 約13億個 | 鮭はらみ、焼きたらこ、焼肉たれ飯 |
| ローソン | 約11億個 | 鶏五目、たまご、和風ツナマヨ |
※推定出典:各社IR資料、日経MJ記事、流通ニュースより編集部推計
日本国内だけで年間50億個以上が販売されるおにぎり。平均単価150円前後とすれば、市場規模は軽く7,000億円を超える。しかもこの市場、意外にもコロナ禍を経て安定成長を続けている。2022年にはセブンが「もち麦シリーズ」など健康訴求で売上を前年比107%まで回復させた実績もある。
海外に広がる「OMUSUBI」
では、海外での展開はどうだろうか。ここ数年で注目されているのが、アジア〜欧米に展開する「おにぎり専門店」や、日系企業による輸出・現地製造だ。
【主な海外おにぎり店/拠点】
| 店名/拠点 | 所在地 | 特徴 |
|---|---|---|
| おむすび権兵衛パリ店 | フランス・パリ | ランチ需要の高いビジネス街に出店 |
| Onigily Café | 米国・サンフランシスコ | カフェ業態でローカル食材を使用 |
| Tokyo Onigiri | カナダ・トロント | 冷凍対応で広域展開 |
| MUSUBI Factory | シンガポール | 自動握り機導入、回転率重視 |
実はおにぎりの海外展開は2000年代から続いていたが、2020年代に入りビーガン対応・低糖質・グルテンフリーといった要素を取り入れた“健康志向のスナック”として再評価されている。
さらに冷凍技術の進化によって、現地製造+冷凍配送+再加熱による“セミ即食”としての位置付けも強化され、在庫管理面でもロスが少ない点から小売業者にも好まれる。
成長要因と戦略構造
世界に広がるおにぎりビジネスには、以下の4つの戦略的構造が見える。
- 現地食材との掛け算による“ローカルフレーバー戦略”
- 例:チキン照り焼き with バスマティライス(UAE)、マンゴーチリおにぎり(ハワイ)
- サブスクリプションやデリバリーへの対応
- 米国では「毎週6個セット」を定期宅配するサービスも展開
- 冷凍×即食モデルによるB2B供給の伸長
- 業務用市場での需要増。レストランやスーパーの惣菜棚にも進出中
- 観光地・空港での土産化と高付加価値化
- パリやニューヨークで1個4〜5ユーロでも売れる理由は「体験としての日本食」
市場の今後と展望
富士経済の2024年レポートによれば、冷凍米飯の輸出市場は前年比で約8.3%成長しており、特におにぎりカテゴリの伸び率は+12%と推計されている(※注1)。日本からの輸出だけでなく、現地製造の立ち上げも急速に進んでおり、2025年には全世界で年3億個超の“おにぎり消費”が見込まれるとされる。
海外展開の主戦場は、アジアから欧米都市へと移りつつあり、「おにぎり」が単なる日本食ではなく、“世界共通のフィンガーフード”となる日も遠くはない。
参照
富士経済「2024年版 冷凍食品市場データブック」
日経MJ(2023年11月号):セブンの健康志向商品戦略
流通ニュース:「米国で高まるONIGIRI人気と冷凍流通改革」
各社公式サイト(Onigily Café、おむすび権兵衛 他)
🔎 ポイントまとめ
- 日本国内では年間50億個超が販売される巨大市場であり、安定成長中。
- 海外では冷凍・即食モデルが台頭し、アメリカ・フランス・シンガポールなどで人気。
- 健康志向・ローカル対応などを通じて“グローバルフィンガーフード”化が進行。
- 今後は観光需要やB2B供給も含め、年3億個超の消費が世界で見込まれる。



