フェムケア経済圏:なぜ“話しにくい”市場が熱いのか?
🔎 ポイントまとめ
- フェムケア市場は2025年に2,000億円超へと拡大予測
- 吸水ショーツやPMSサプリが自己肯定感を支える商品に
- SNSやnoteの“共感型コンテンツ”が最大の広告手段に
- 機能より感情に訴えるD2C戦略が市場を牽引
はじめに
「フェムケア」や「フェムテック」という言葉がメディアで見かけられるようになって久しい。かつてはタブー視されていた月経やPMS、不妊、デリケートゾーンケアといった領域が、今や急速に消費と事業の対象になっている。2020年代以降、この分野は女性の自己決定・ウェルビーイングと結びつきながら、静かに、しかし確実に経済圏を広げている。
本稿では、フェムケア市場の成長背景と構造、主なプレイヤー、そして「話しにくい領域」がどのように収益モデルとして成立し始めているのかを明らかにする。
フェムケア市場の定義と成長
フェムケア市場とは、女性の生理・妊娠・更年期・デリケートゾーン・PMSなどに関する課題解決を目的とした商品・サービスの総称である。日本でもフェムケア・フェムテックという言葉が浸透しはじめたのは2019年以降であり、経産省によるフェムテック支援事業の影響も大きい。
市場データ(国内)
- 2021年のフェムテック市場規模:約1,000億円(富士経済)
- 2025年予測:2,000億円以上(同上)
- 成長率:約20〜25%/年の成長が続くと予測
吸水ショーツや月経カップ、スマート温度計、PMS向けサプリメント、フェムケアコスメなど、ジャンルは多岐に渡る。
なぜ今、話しにくいテーマが“売れる”のか?
SNSと共感経済の進化
InstagramやYouTubeで「#吸水ショーツ」「#フェムテック」というハッシュタグを検索すると、体験談やレビューが山のように出てくる。Z世代の女性たちは、自分の体験をオープンに共有し、それに共感した他のユーザーが商品購入へと進む“共感ドリブン型”の消費行動をとる。
また、YouTuberやインフルエンサーがPMSや生理痛について語る動画が数十万再生を超えることも珍しくなくなった。もはや“話しにくい”は“話すべき”へと変わりつつある。
フェムケア=自己肯定感の向上
フェムケア商品は、単なる機能性ではなく「自分をいたわる」「自分を知る」といった感情的価値を伴う。吸水ショーツは「漏れないから便利」ではなく、「不快感を我慢しなくていい」というメッセージが購買動機になっている。
プレイヤーと商品群の多様化
プレイヤーと商品群の多様化
- Nagi(ナギ):吸水ショーツで急成長、ミレニアル女性に人気。PR戦略も秀逸。
- ルナルナ:妊活・排卵管理アプリの老舗。現在はBtoB事業(健康保険組合等)も展開。
- WRAY(レイ):漢方ベースのフェムケアブランド。PMS向けサプリが話題。
- THINX/Modibodi(海外):吸水ショーツ市場の先駆者であり、グローバル展開中。
主要カテゴリ
- 吸水ショーツ:使い捨てナプキンの代替として急速に浸透
- 月経カップ:サステナブル志向の象徴的アイテム
- フェムケアサプリ:漢方ベース・CBD含有など多様化
- デリケートゾーンコスメ:VIO専用ソープやオイルなど
- ウェアラブル体温計:妊活用途、月経予測用途に人気
ビジネスモデルと広告展開の工夫
この市場では、D2Cモデルとサブスクリプションが特に強い。吸水ショーツは初回購入後のリピート率が高く、PMSサプリやアプリも定期利用が前提となる。
また、「話しにくい」ゆえにマス広告が難しい一方で、インフルエンサーやPR投稿、noteやブログを通じたコンテンツマーケティングが有効である。実際に使用した“本音レビュー”が最大の広告になる。
データで見る訴求効果
- Nagiの公式インスタ:フォロワー14万人超(2024年)
- WRAYのサプリ:定期購入者の継続率は80%以上(自社発表)
- note上のフェムケア体験記:PV数1万超が多数
おわりに
フェムケア市場の拡大は、単なる“女性向けの新しい商材”ではなく、個人の身体と向き合う文化的シフトの表れである。人に言いづらかったことを自分の言葉で語り、誰かがその声に耳を傾け、そこに小さなビジネスが生まれていく。
「売れる理由」は、機能性でも価格競争力でもない。フェムケアの経済圏が示すのは、「語れること」と「買いたくなること」の新しい接点である。
参照
- 富士経済『フェムテック市場の将来展望2022』
- 経済産業省「フェムテック等サポートサービス実証事業」
- note投稿データ(WRAY, Nagiほか)
- 各社公式HPおよびInstagramアカウント(2024年5月時点)
- 朝日新聞デジタル「フェムテック最前線」特集(2023年)
🔎 ポイントまとめ
- フェムケア市場は2025年に2,000億円超へと拡大予測
- 吸水ショーツやPMSサプリが自己肯定感を支える商品に
- SNSやnoteの“共感型コンテンツ”が最大の広告手段に
- 機能より感情に訴えるD2C戦略が市場を牽引



