国内コンビニ業界20年史:セブン・ファミマ・ローソンの売上推移とマーケットシェア
🔎 ポイントまとめ
- コンビニ業界は2005年から2024年にかけて約1.6倍に成長し、2024年には11.8兆円に到達。
- セブン-イレブンが一貫してトップシェア(45%以上)を維持し、収益性・規模ともに他社をリード。
- ファミリーマートは統合後に売上を急拡大、M&Aと惣菜強化で“脱セブン型”戦略で2位として安定推移。
- ローソンは堅実な店舗戦略でシェアを維持、多業態・地域特化で“ニッチ強者”として24年時点で3兆円近くを記録。
はじめに:数字だけでは見えない、コンビニ20年の「競争ドラマ」
日本のコンビニ業界は、この20年で約1.6倍の市場成長を遂げた。2005年時点で約7.2兆円だった業界売上は、2024年には11.8兆円へと拡大している。セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンの「御三家」は常に競い合い、それぞれの勝ち筋と変化を重ねてきた。
だが、売上やシェアといった数字だけでは、業界の本質は見えない。
セブンはなぜPB商品を強化し、ファミマはなぜ合併に動いたのか。ローソンはなぜ“多業態”へと踏み出したのか。
本稿では、2005年から2024年までの20年間において、各社が直面した分岐点と戦略転換を、時代背景×イベント×数字の3軸から丁寧に追っていく。
読み終えたとき、あなたは“売上推移”の裏側にあった企業たちの戦い方を、少し違う角度から見られるようになるはずだ。
緩やかな業界成長とシェア構造の安定化
2005年度のコンビニ業界全体の売上高は約7.2兆円。以降は年1〜3%程度の成長を続け、2024年度には約11.8兆円にまで拡大している。セブン-イレブンはこの間、一貫して約30%超のシェアを維持し、首位の地位を確立してきた。
ファミリーマートは2016年のサークルKサンクス統合を契機に売上を大きく伸ばし、2017年度には3兆円を突破。ローソンは業界3位ながら、安定した収益基盤と店舗網を維持し続けている。
年度別:売上高とシェアの推移(2005〜2024年)
PB元年と“セブンの牙”が伸びた時代(2005〜2009)
セブンプレミアム、誕生の衝撃
2007年、セブン-イレブンが母体のイトーヨーカドーと共に開発した「セブンプレミアム」が登場。単なるプライベートブランド(PB)ではなく、ナショナルブランド(NB)級の品質をNBよりも安く提供するという新たな“PB2.0”戦略だった。
これにより、セブンは客単価を上昇させつつ、収益性と差別化を同時に実現。他社は一歩遅れて追随せざるを得なくなった。
ファミマは“海外”へ
この時期、ファミリーマートは中国・ベトナムなどのアジア市場進出に注力。日本国内ではやや存在感が薄れたが、将来的な成長ドライバーを海外に見出していた。
ローソンの“都市型革命”
一方ローソンは「ナチュラルローソン」などの都市型業態を拡大。女性・健康志向といったニッチ市場を狙い、ブランディング型店舗展開に舵を切る。
2005年:
コンビニ業界の売上は約7.22兆円となり、セブン-イレブンが約2.5兆円(シェア約34.6%)でトップを維持。
ファミリーマートは約0.99兆円(約13.7%)、ローソンは約1.33兆円(約18.4%)を記録。
- セブン-イレブン:34.6%
- ファミリーマート:13.7%
- ローソン:18.4%
- その他:33.3%
2006年:
コンビニ業界の売上は約7.27兆円となり、セブン-イレブンが約2.53兆円(シェア約34.8%)でトップを維持。
ファミリーマートは約1.03兆円(約14.2%)、ローソンは約1.36兆円(約18.7%)を記録。
- セブン-イレブン:34.8%
- ファミリーマート:14.2%
- ローソン:18.7%
- その他:32.3%
2007年:
コンビニ業界の売上は約7.36兆円となり、セブン-イレブンが約2.57兆円(シェア約34.9%)でトップを維持。
ファミリーマートは約1.07兆円(約14.5%)、ローソンは約1.39兆円(約18.9%)を記録。
- セブン-イレブン:34.9%
- ファミリーマート:14.5%
- ローソン:18.9%
- その他:31.7%
2008年:
コンビニ業界の売上は約7.86兆円となり、セブン-イレブンが約2.76兆円(シェア約35.1%)でトップを維持。
ファミリーマートは約1.12兆円(約14.2%)、ローソンは約1.42兆円(約18.1%)を記録。
- セブン-イレブン:35.1%
- ファミリーマート:14.2%
- ローソン:18.1%
- その他:32.6%
2009年:
コンビニ業界の売上は約7.90兆円となり、セブン-イレブンが約2.78兆円(シェア約35.2%)でトップを維持。
ファミリーマートは約1.25兆円(約15.8%)、ローソンは約1.56兆円(約19.7%)を記録。
- セブン-イレブン:35.2%
- ファミリーマート:15.8%
- ローソン:19.7%
- その他:29.3%
震災対応と物流戦争(2010〜2014)
2011年、震災でセブンが変えた“インフラ意識”
東日本大震災(2011年3月)により、各社の物流体制・BCP(事業継続計画)の差が浮き彫りになった。とりわけセブンは、わずか2日で東北地方の店舗を再稼働させ、全国からの物流支援を成功させた。
この“災害に強いインフラ”としてのイメージは、その後の店舗拡大と地域信頼を大きく後押しする。
ファミマの“MUJIコラボ”
2012年には「無印良品」とのコラボを進め、PBを強化。NBに依存しない商品戦略を模索し、非食品領域での差別化を狙った。
ローソンの自治体連携戦略
この時期、ローソンは地方自治体との連携を加速。郵便局併設店舗、高齢者向け見守り支援など、“地域の公共性”を意識したモデルを打ち出していく。
2010年:
コンビニ業界の売上は約8.02兆円となり、セブン-イレブンが約2.95兆円(シェア約36.8%)でトップを維持。
ファミリーマートは約1.27兆円(約15.8%)、ローソンは約1.68兆円(約20.9%)を記録。
- セブン-イレブン:36.8%
- ファミリーマート:15.8%
- ローソン:20.9%
- その他:26.5%
2011年:
コンビニ業界の売上は約8.68兆円となり、セブン-イレブンが約3.28兆円(シェア約37.8%)でトップを維持。
ファミリーマートは約1.44兆円(約16.6%)、ローソンは約1.83兆円(約21.1%)を記録。
- セブン-イレブン:37.8%
- ファミリーマート:16.6%
- ローソン:21.1%
- その他:24.5%
2012年:
コンビニ業界の売上は約9.03兆円となり、セブン-イレブンが約3.51兆円(シェア約38.9%)でトップを維持。
ファミリーマートは約1.53兆円(約16.9%)、ローソンは約1.91兆円(約21.2%)を記録。
- セブン-イレブン:38.9%
- ファミリーマート:16.9%
- ローソン:21.2%
- その他:23.0%
2013年:
コンビニ業界の売上は約9.37兆円となり、セブン-イレブンが約3.78兆円(シェア約40.3%)でトップを維持。
ファミリーマートは約1.58兆円(約16.9%)、ローソンは約1.96兆円(約20.9%)を記録。
- セブン-イレブン:40.3%
- ファミリーマート:16.9%
- ローソン:20.9%
- その他:21.9%
2014年:
コンビニ業界の売上は約9.73兆円となり、セブン-イレブンが約4.01兆円(シェア約41.2%)でトップを維持。
ファミリーマートは約1.72兆円(約17.7%)、ローソンは約2.05兆円(約21.1%)を記録。
- セブン-イレブン:41.2%
- ファミリーマート:17.7%
- ローソン:21.1%
- その他:20.0%
合併と再編が塗り替えた業界地図(2015〜2017)
セブン“海外大型買収”へ
セブン-イレブンは北米で大型買収(Speedway)に動くなど、“国内の飽和”を超えた海外展開へと軸足を移行。
ファミマ×サークルKサンクス、統合の衝撃
2016年、ファミリーマートとサークルKサンクスが合併。コンビニ史上最大規模のM&Aだった。ブランドの統一には時間を要したが、結果的にファミマの売上は3兆円台に到達し、ローソンを明確に引き離すことになる。
ローソン、三菱商事の完全子会社に
2017年にはローソンが三菱商事の完全子会社化。資本の安定を得る一方、実験的店舗・新規業態(ローソン+ドラッグストアなど)への投資が加速していく。
2015年:
コンビニ業界の売上は約10.19兆円となり、セブン-イレブンが約4.29兆円(シェア約42.1%)でトップを維持。
ファミリーマートは約1.86兆円(約18.3%)、ローソンは約2.16兆円(約21.2%)を記録。
- セブン-イレブン:42.1%
- ファミリーマート:18.3%
- ローソン:21.2%
- その他:18.4%
2016年:
コンビニ業界の売上は約10.57兆円となり、セブン-イレブンが約4.52兆円(シェア約42.8%)でトップを維持。
ファミリーマートは約2.01兆円(約19.0%)、ローソンは約2.28兆円(約21.6%)を記録。
- セブン-イレブン:42.8%
- ファミリーマート:19.0%
- ローソン:21.6%
- その他:16.6%
2017年:
コンビニ業界の売上は約10.70兆円となり、セブン-イレブンが約4.68兆円(シェア約43.7%)でトップを維持。
ファミリーマートは約3.01兆円(約28.1%)、ローソンは約2.42兆円(約22.6%)を記録。
- セブン-イレブン:43.7%
- ファミリーマート:28.1%
- ローソン:22.6%
- その他:5.6%
キャッシュレスと“コロナで変わるコンビニ像”(2018〜2020)
キャッシュレス競争の波
2018年以降、PayPay・LINE Payなどが乱立し、“どのコード決済が使えるか”が選ばれる要素に。ファミマは「FamiPay」、セブンは「セブンペイ(失敗に終わる)」、ローソンは「Ponta」連携を軸にそれぞれ対応。
コロナ禍と中食ブーム
2020年の新型コロナ感染拡大により、コンビニの「生活インフラ」的役割が再認識された。弁当・惣菜を中心とした中食需要が急増。
とくにローソンは健康惣菜や「マチカフェ」で女性層の囲い込みを強化。
2018年:
コンビニ業界の売上は約10.96兆円となり、セブン-イレブンが約4.90兆円(シェア約44.7%)でトップを維持。
ファミリーマートは約3.02兆円(約27.6%)、ローソンは約2.51兆円(約22.9%)を記録。
- セブン-イレブン:44.7%
- ファミリーマート:27.6%
- ローソン:22.9%
- その他:4.8%
2019年:
コンビニ業界の売上は約11.16兆円となり、セブン-イレブンが約5.01兆円(シェア約44.9%)でトップを維持。
ファミリーマートは約2.98兆円(約26.7%)、ローソンは約2.35兆円(約21.1%)を記録。
- セブン-イレブン:44.9%
- ファミリーマート:26.7%
- ローソン:21.1%
- その他:7.3%
2020年:
コンビニ業界の売上は約10.66兆円となり、セブン-イレブンが約4.87兆円(シェア約45.7%)でトップを維持。
ファミリーマートは約2.90兆円(約27.2%)、ローソンは約2.44兆円(約22.9%)を記録。
- セブン-イレブン:45.7%
- ファミリーマート:27.2%
- ローソン:22.9%
- その他:4.2%
“人がいない時代”のコンビニ戦略(2021〜2024)
無人化・省人化とデジタル販促
人手不足と高齢化が加速する中、各社は無人レジ・電子棚札・AI発注といった省人化を推進。セブンは完全無人店舗を実験的に拡大し、ファミマ・ローソンも追随。
ブランド刷新と“買われ方”の再設計
ファミマは2021年、惣菜PB「お母さん食堂」を「ファミマル」へ刷新。
「誰が、いつ、なぜ買うのか?」という購買シーンの再定義を通じて、“惣菜強者”としてのブランディングを強化している。
ローソンはドラッグストア併設型や、職域内店舗など特定ターゲットに刺さる立地モデルを強化し、“3位でも強い”多様化戦略をとっている。
2021年:
コンビニ業界の売上は約10.78兆円となり、セブン-イレブンが約4.95兆円(シェア約45.9%)でトップを維持。
ファミリーマートは約2.95兆円(約27.4%)、ローソンは約2.57兆円(約23.8%)を記録。
- セブン-イレブン:45.9%
- ファミリーマート:27.4%
- ローソン:23.8%
- その他:2.9%
2022年:
コンビニ業界の売上は約11.18兆円となり、セブン-イレブンが約5.15兆円(シェア約46.1%)でトップを維持。
ファミリーマートは約3.02兆円(約27.0%)、ローソンは約2.75兆円(約24.6%)を記録。
- セブン-イレブン:46.1%
- ファミリーマート:27.0%
- ローソン:24.6%
- その他:2.3%
2023年:
コンビニ業界の売上は約11.66兆円となり、セブン-イレブンが約5.35兆円(シェア約45.9%)でトップを維持。
ファミリーマートは約3.08兆円(約26.4%)、ローソンは約2.83兆円(約24.3%)を記録。
- セブン-イレブン:45.9%
- ファミリーマート:26.4%
- ローソン:24.3%
- その他:3.4%
2024年:
コンビニ業界の売上は約11.80兆円となり、セブン-イレブンが約5.37兆円(シェア約45.5%)でトップを維持。
ファミリーマートは約3.14兆円(約26.6%)、ローソンは約2.92兆円(約24.7%)を記録。
- セブン-イレブン:45.5%
- ファミリーマート:26.6%
- ローソン:24.7%
- その他:3.2%
まとめ:20年の「数字の裏側」にあったもの
この20年、コンビニ業界は数字の上では成長を続けてきた。だがその裏には、各社の「勝ち筋」への明確なこだわりがあった。
- セブン:PB×物流で高収益モデルを築き、早期から海外展開へ
- ファミマ:M&Aで規模を拡大し、惣菜・アプリ戦略で“脱セブン”を図る
- ローソン:地方・高齢者・健康・職域など多様性を武器に「ニッチ強者」へ
つまり、同じ「コンビニ」という箱の中で、3社はまったく違うゲームを戦ってきたのだ。
市場が飽和し、人手も資源も限られていく中、次の10年は“選ばれる理由”がさらに問われる時代になるだろう。
あなたが今日立ち寄るコンビニが、どんな戦略のもとにそこにあるのか。
この20年の物語を知れば、その意味もきっと変わって見えてくるはずだ。
🔎 ポイントまとめ
- コンビニ業界は2005年から2024年にかけて約1.6倍に成長し、2024年には11.8兆円に到達。
- セブン-イレブンが一貫してトップシェア(45%以上)を維持し、収益性・規模ともに他社をリード。
- ファミリーマートは統合後に売上を急拡大、M&Aと惣菜強化で“脱セブン型”戦略で2位として安定推移。
- ローソンは堅実な店舗戦略でシェアを維持、多業態・地域特化で“ニッチ強者”として24年時点で3兆円近くを記録。



